今日は、仕事で中堅どころの自動車メーカーに来ています。
中堅どころとは言っても、もともと、自動車製造なんて巨大企業が多い世界ですから、普段、これほどの企業を見慣れていない僕としては、その規模の大きさに驚かされるばかりです。
さて、先程、この会社の若い社員と一緒に早めの昼食をとってきました。 
彼、ツイッターやっているそうで、
「ツイッターとかやっていると、もう、大企業の時代じゃないって感じさせられますよね。」
それに対して、僕。
「うーん。まだまだ日本の大企業は捨てたものじゃないよ。資金を調達したり人材を育成したり、そういう力は大したものだし。なかなかベンチャーでそこまで出来る会社は少ないよ。」
彼は納得できないようで、
 「そうですか?でも、これからは少しづつ大企業よりもベンチャーや、それから、ネットとかで意見が一致した人達同士で集まって事業をするほうが影響力を持つ時代になっていくんじゃないかと思うんですよね。」
主張はなかなか勇ましいんだけれど、ちょっと危ういな、と思って、僕は、
「うーん。全体の流れとしては僕もそうだと思うけれど。まだまだ、大企業のほうが力を持っている業界のほうが多いと思うよ。あなたの所属している自動車だってそうでしょう?」
そう言われて、返答に詰まってしまう彼。
「。。。」
少し可哀そうだけれど、聞いてみる。
「あなたがイメージしている大企業より影響力を持つようになっているベンチャーって、例えばどういう会社?」
「ええっと、楽天とか、ソフトバンクとか、そういうのですかね。」
楽天とソフトバンク?
「じゃあ、あなたが思っている、影響力を失ってきている大企業って、どういうの?」 
「JALとかフジテレビとか東電とか。」
フジテレビと東電?ううむ。。
「ええと、イメージは分かったけれど、楽天もソフトバンクも大企業だよ。少なくとも、銀行からプロ野球の球団まで持っているような企業グループを中小企業とは言うのは間違っていると思うよ。」
「それから、JALはともかく、フジテレビも東電も、いまでも強い力を持った企業だよ。」
。。。
「でも、ナントカさんとかカントカさんとか(名前失念。ツイッターの有名人だ。)が言っていることですけれど。。」

「ツイッターは面白いけれど、あそこで人気のある人は、かなり意見が偏っている人も多いよ。昭和時代みたいに、大企業やマスメディアが何が何でも正しいみたいな雰囲気もビョーキだと思うけれど、逆に、今みたいに、皆が大企業やメディアや政府を疑いすぎるのも、逆の意味で病んでいると思うよ。」 
。。。
「キミのいる会社は、社員の教育をしっかりしてくれる大企業だ。ベンチャーも羨ましいかもしれないけれど、自分の会社みたいな企業をもう少し信じてもいい。」 

「ウチの会社、そんなに大きな会社じゃないですよ。」

「大きいよ。自動車会社としては大きい方じゃないけれど、世間では十分、大企業で通じる会社だよ。」

偉そうに講釈を垂れたんですが、冷静に考えてみると、彼は、考えていることはそれほど間違っていない気もしてきた。大企業とかベンチャーとかいう言葉の定義が微妙にズレているだけで。
大企業ばかりの業界で、業界内では小さめの企業、でも世間では大企業っていう企業に所属して。
大企業なのに業界内では小さなチャレンジャーとして扱われて。
世間の大企業の多くは自分の会社よりも小さな企業なんだけれど、他所の会社なんて伝聞でしか知らないだろうから、たぶん、よその大企業はもっと大きな企業だとイメージしているのかもしれない。

少し可哀想なことしたかな。